太平洋戦争の末期，大都市への空襲が激しくなる中，児童の生命を守るため，国民学校（現在の小学校）３年生以上の児童を農山村や地方都市に移動させる「学童集団疎開」が行われました。
京都市でも，昭和２０年に入り始めての空襲（１月１６日馬町空襲）を受けるなど，戦禍が拡大する中，同年３月から多くの学校で京都府内の市町村への学童集団疎開が行われることになりました。疎開先は地域ごとに京都府下の町村が指定され，宿舎には寺院や教会，旅館などが寮として提供されました。近くの国民学校（小学校）で授業を受け，放課後は畑を耕すなどの労働についていました。
| 学校名 | 月日（昭和20年） | 疎開先 | 人数構成 | 寮や学校など | 取り上げている資料 | 原資料 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 九条弘道小 （第1次） |
3月28日～10月18日 | 船井郡園部村・川辺村（現南丹市園部町） | 124名，教員5名＊☆，寮母5名，作業員5名 | 林松寺・香林寺・大蔵寺(園部）観心寺・妙霊教会（川辺）に分宿。園部国民学校、川辺国民学校に通学。 | 「大堰の流れー川辺小学校百周年記念」 | 藤田先生の資料 村田先生の証言、三木先生の回想記 | |
九条弘道小 （第2次）＃ |
8月上旬～10月18日 | 船井郡園部村・川辺村 | 児童10名 | 林松寺 | |||
| 九条小 （第1次） |
3月28日～ 10月20日 |
船井郡新庄村（現南丹市八木町） | 220名 | 新庄村会議所など７ヶ所に分宿。新庄国民学校。 | |||
| 九条小 （第2次） |
不明 | 船井郡新庄村（現南丹市八木町） | 38名 | ||||
| 九条塔南小 （第1次） |
3月28日～ 10月18日 |
船井郡胡麻郷村（現南丹市日吉町） | 185名☆，寮母9名，作業員8名 | 龍沢寺、上胡麻寮（区会議所）、諦称寺、徳寿寺、真福寺・志和賀寮（区会議所）に分宿。胡麻郷国民学校、志和賀分校に通う。 | 通知簿、写真、はがき、手紙 | ||
| 九条塔南小 （第2次）＃ |
8月7日～ 10月18日 |
船井郡胡麻郷村（現南丹市日吉町） | 18名 | ||||
| 南大内小 （第1次） |
3月28日～ 10月18日 |
船井郡桧山村（現船井郡京丹波町） | 199名，教員10名，寮母10名，作業員9名 | 桧山国民学校に通学。和田区会所・橋爪区会所・井尻区会所・大朴区会所・廣昌寺・西岸寺・妙行寺・養徳寺・常昭寺に分宿。 | 「集団疎開児童名簿」 | ||
| 南大内小 （第2次） |
8月8日～ 10月18日 |
船井郡桧山村（現船井郡京丹波町） | 48名＊☆ | 桧山国民学校に通学。和田区会所・橋爪区会所・井尻区会所・大朴区会所・廣昌寺・西岸寺・妙行寺・養徳寺・常昭寺に分宿。 | 「集団疎開児童名簿」「京都府船井郡桧山国民学校集団疎開学童名簿」 | ||
| 唐橋小 | 3月30日～ 10月18日 |
船井郡上和知村・上賀美村（現船井郡京丹波町） | 150名，教員7名 | 招福寺・善入寺・甘露寺・祥雲寺・東月寺・上賀美村公会堂に分宿。上和知国民学校下栗野国民学校・質美国民学校に登校。 | |||
| 学校名 | 月日（昭和20年） | 疎開先 | 人数構成 | 寮や学校など | 取り上げている資料 | 原資料 | 備考 |
| 陶化小 | 3月28日～ 10月26日 |
南桑田郡西別院村（現亀岡市） | 児童133名，教員3名＃☆ | 常泉寺・慶石寺・静洞寺・積善寺に分宿。 | |||
| 東和小 | 3月28日～ 10月18日 |
船井郡須知町及び竹野村（現船井郡京丹波町） | 児童246名＊，教員11名，寮母11名，作業員11名 | 竹野国民学校、須知国民学校に通学。国祥寺・玉雲寺・金剛寺・宝生寺・蒲生区役所に分宿。 | |||
| 山王小 （第1次） |
3月28日～ 10月17日 |
船井郡須知町（現船井郡京丹波町） | 児童116名，教員7名，寮母6名，作業員6名 | 玉雲寺・正安寺・蒲生集会所に分宿。須知国民学校に通学。 | 「山王国民学校 集団疎開記」、山王校記念誌 | ||
| 山王小 （第2次） |
8月8日～ 10月18日 |
船井郡須知町（現京丹波町須知） | 児童18名，教員1名 | 浄光寺。須知国民学校に通学。 | 「山王国民学校 集団疎開記」、山王校記念誌 | ||
| 吉祥院小 | 3月31日～ 10月17日＃ |
船井郡竹野村（現船井郡京丹波町） | 児童120名，教員5名，寮母5名，作業員4名＊☆ | 大通寺・村集会所に分宿。 | |||
| 上鳥羽小 | 8月7日～ 10月17日＊ |
船井郡西本梅村（現南丹市園部町） | 3年生以上児童12名＊，教員1名 | 最福寺。 |
疎開児童数 合計１５，７３０
学校数 合計１１１校
＊は「学童集団疎開に関する調査」では異説あり
＃は『学校歴史資料実態調査にともなう参考資料Ⅱ』では異説あり
☆は『京都の歴史』巻9，第三節「教育の軍事化」表19では異説あり
参考資料
『学校歴史資料実態調査にともなう参考資料Ⅱ』京都市退職校園長会 平成10年
『京都の歴史』巻9 第三節「教育の軍事化」京都市 昭和55年
「学童集団疎開に関する調査」京都市教育研究所分室 昭和40年
『やまぼうし 北桑田の学童疎開記録集』財団法人京都ゼミナールハウス 平成8年
『語り伝える京都の戦争１』「学童疎開」久津間保治 1996年
各学校発行の記念誌
京都市教育委員会発行の各閉校誌
