展示室

月替わり 学校美術品展示

 平成26年10月から、常設展示室の中に新しく特別コーナーを設けました。所蔵している学校美術品を毎月入れ替えて展示しています。どうぞお楽しみに!

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令和6年12月の展示(展示期間:12月1日~12月27日)
(伝)狩野永徳 《雲龍図(うんりゅうず) 江戸時代初頭 元崇仁すうじん)小学校蔵
 墨の色の濃淡をいかし、体を大きくくねらせた龍が描かれています。龍が体にまとっている雲は、靄がかかったかのようです。龍の顔から爪あたりまでの線に描かれた当初のものがみられることが指摘されています。崇仁小学校では、子どもたちが坐禅などを行った「静室」という部屋の床の間に飾られていました。
令和6年11月の展示(展示期間:11月1日~11月30日)
上:岩崎又二郎(いわさきまたじろう) 《加茂川秋景》かもがわしゅうけい)昭和5(1930)年 元西陣小学校蔵
 秋を思わせる色彩で彩られた本作は、川岸に二人の人物が描かれ、奥には建物が立ち並びます。手前の川岸から眺めるように川沿いの秋の景色を描いた作品です。 作者の岩崎は西陣校の卒業生です。本作は、西陣校の昭和56(1981)年度学校給食優良学校の文部大臣表彰を祝い、同校の学校薬剤師から贈られました。

下:Kim Dukki 《清水寺入口》 制作年代不明 元修徳しゅうとく)小学校蔵
 本作に描かれているのは、三重塔横の本堂へと向かう参道の周辺であると推測されます。右側の茶屋の店先にみえる「氷」の旗から、絵の中の季節が感じられます。 本作は修徳校の校長室に飾られていました。制作年代は不明ですが、韓国人の卒業生から贈られたと伝わっています。
令和6年10月の展示(展示期間:10月1日~10月31日)
乾隆実務(けんりゅうじつむ)女学校生徒 《押絵(おしえ)歴史人物図屏風》 明治31(1898)年
 乾隆小学校蔵
 押絵とは、羽子板にも用いられている、厚紙を布で包み、綿をいれて作られた布細工のことです。左側に花札の10月の札である「紅葉に鹿」が表されています。本作は、乾隆小学校に併設され、女子中等教育を行っていた乾隆実務女学校の裁縫専修科の生徒たちが制作しました。
令和6年9月の展示(展示期間:9月1日~9月30日)
国井応文(くにいおうぶん) 《波上三雁図(はじょうさんがんず) 慶應4(1868)年 元日彰にっしょう)小学校蔵
 波打つ海の上を三羽の雁が飛んでいます。雁は秋に日本に訪れる渡り鳥です。右に「戊辰仲秋 応文寫」と記されており、本作が秋に制作されたことが分かります。 作者の国井応文は京都生まれで、母が円山応挙の孫にあたります。
令和6年8月の展示(展示期間:8月1日~8月31日)
河合健二(かわいけんじ) 《妙髙山(みょうこうさん) 昭和時代 元有済ゆうさい)小学校蔵
 妙高山は新潟県に位置する山で、越後富士とも称されます。淡い水色で彩られた山肌は、雪が降り積もった様子が表されているのでしょう。 作者の河合健二は京都市生まれの日本画家です。河合は有済校の卒業生で、本作は母校へと贈られた作品になります。
令和6年7月の展示(展示期間:7月1日~7月31日)
上:徳力富吉郎(とくりきとみきちろう) 《祇園祭》 昭和48(1973)年 楊梅(ようばい)幼稚園蔵
 中央右の長刀鉾には、屋根に飾られた鯱や胴懸「中国玉取獅子図絨毯」などの鉾の特徴が表されています。沿道の数えきれないほどの人々からは、祭りの活気が感じられます。 作者の徳力富吉郎は京都で活躍した版画家で、西本願寺絵所の12代目でもありました。京都市立絵画専門学校で日本画を学んだのち、版画にとりくみはじめました。

下:徳力富吉郎 《清水寺》 昭和45(1970)年 楊梅幼稚園蔵
 雪が降り積もる清水寺の境内が表されています。中央には京都を代表する名所である清水寺の本堂がみられます。白色、灰色、水色で彩られた銀世界と、黄金色の本堂の柱という色の対比が感じられる作品です。 本作は「祇園祭」とともに、楊梅幼稚園の創立百周年を記念して同園に贈られました。
令和6年6月の展示(展示期間:6月1日~6月30日)
左上:海老名正夫(えびなまさお) 《農婦》 昭和24(1949)年 元待賢(たいけん)小学校蔵
 画面中央に大きく表された女性の横顔からは落ち着いたたたずまいが感じられます。奥には田園が広がり、左下には牛とともに農作業にいそしむ人物が小さく描かれ、画面上半分に青空が広がります。作者の海老名正夫は京都市立絵画専門学校(現・京都市立芸術大学)で学び、菊池契月(きくちけいげつ)宇田荻邨(うだてきそん)に師事しました。

右下:後藤貞之介(ごとうていのすけ) 《帰路》 昭和期 元中立(ちゅうりつ)小学校蔵
 里山を牛とともに歩く人物は青の衣服を身に着け、白の手ぬぐいをかぶっており、大原女を彷彿とさせます。作者の後藤貞之介は京都市立絵画専門学校(現・京都市立芸術大学)で学び、菊池契月に師事しました。風景画を得意とし、政府主催の展覧会である官展へ作品を出品し続けました。
令和6年5月の展示(展示期間:5月1日~5月31日)
《五月人形》 制作年代不明 元城巽(じょうそん)幼稚園蔵
 兜と鎧とを組み合わせた鎧飾りの五月人形です。赤と緑を基調にした鎧兜を、(ひつ)の上に武将が座っているように飾ります。本作は元城巽幼稚園に伝わりました。
令和6年4月の展示(展示期間:4月1日~4月30日)
上:西浦利一(にしうらりいち) 《嫩草(わかくさ) 昭和15(1940)年頃 元格致小学校蔵
 春の野でくつろぐ二頭の若い鹿を描いた作品です。鹿の周囲には若草が芽生え、春の花であるたんぽぽが咲いています。作者の西浦利一は京都市立絵画専門学校で学び、京都市内の小・中学校に勤めました。本作は昭和15年の格致校同窓会創立50周年を記念して寄贈されました。

下:柴原希祥(しばはらきしょう) 《桜に小禽図(しょうきんず) 20世紀 学校歴史博物館管理
 銀泥で彩られた円の中に、春の花である桜が描かれています。桜の枝にとまっている小禽は、春を告げる鳥であるシジュウカラと推測されます。作者の柴原希祥は岡山県に生まれ、京都市立美術工芸学校で学び、竹内栖鳳に師事しました。
令和6年3月の展示(展示期間:3月1日~3月31日)
ひな人形 制作年代不明 元開智幼稚園蔵
 3月3日のひな祭りには、ひな人形を飾り、子どもたちの健やかな成長を祈ってきました。本作は天皇皇后両陛下のお姿をかたどった内裏雛です。本作が伝わった元開智幼稚園では、ひな祭りをお祝いして何点もの雛人形が飾られることもありました。
令和6年2月の展示(展示期間:2月1日~2月29日)
富岡鉄斎(とみおかてっさい) 《魁星図(かいせいず) 明治21(1888)年 嵐山小学校蔵
 魁星とは文章をつかさどる中国の神様です。北斗七星の第一星を魁星と呼ぶことに由来し、試験の首席合格を願って描かれました。本作では魁星の「魁」の漢字から鬼が斗を蹴る姿で表されています。
令和6年1月の展示(展示期間:1月5日~1月30日)
左:山本春挙(やまもとしゅんきょ)ら四名 《旭日松竹鶴図》 明治時代 元龍池(たついけ)小学校蔵
 本作は山元春挙、厳島虹石、西村秀岳、森雄山(やまもとしゅんきょ いわじまこうせき にしむらしゅうがく もりゆうざん)による合作です。作品には春挙は竹、虹石は松、秀岳は鶴をそれぞれ描いたことが記されています。長寿などを象徴する松・竹・鶴とともに旭日が描かれた、新年にふさわしいおめでたい作品です。

右:小室翠雲、小山栄達(こむろすいうん こやまえいたつ)ら八名 《七福神》 20世紀 元本能(ほんのう)小学校蔵
 本作は八名の画家たちによる合作です。七福神と鶴とのあわせて八つの題材を八名の画家がそれぞれ描いており、顔貌や衣服の描き方に個性が感じられます。七福神をまつる社寺を参拝する七福神めぐりは、特に新春に行うと御利益があるとされています。
令和5年12月の展示(展示期間:12月1日~12月26日)
西村五雲(にしむらごうん) 《油断大敵》 大正12(1923)年 元本能小学校蔵
 今年の干支であるウサギを描いた作品です。イソップ物語「ウサギとカメ」を題材に、眠るウサギをカメが追い抜いた場面を表わしています。「ウサギとカメ」の物語はかつて教科書にも掲載され、学校で親しまれてきました。
令和5年11月の展示(展示期間:11月2日~11月30日)
高井水石(たかいすいせき) 《豊園秋色(ほうえんしゅうしょく) 大正6(1917)年 元豊園幼稚園蔵
 画面の中央に二羽の白い鳩を含む五羽の鳩が描かれています。色づいた紅葉や銀杏の落葉からは秋が感じられます。作品の右側には、大正6年11月に豊園幼稚園の創立30周年をお祝いして描かれた本作が同園へと贈られたことが記されています。
令和5年10月の展示(展示期間:10月1日~10月31日)
上:須田国太郎(すだくにたろう) 《柘榴(ざくろ) 昭和期 元西陣小学校蔵
 暗い色調の背景に、秋に実る柘榴の実を描いた作品です。明るい色で実のつやを表しています。作者の須田国太郎は元日彰小学校の卒業生です。京都帝国大学哲学科へと進み、関西美術院にて洋画を学びました。

下:林文塘(はやしぶんとう) 《雨滴(晩秋)(うてき ばんしゅう)  昭和31年頃 元竹間(ちっかん)小学校蔵
 秋雨が降るなか、たたずむ鳥を描いた作品です。右下に描かれた葉の上には雨滴がみられます。作者の林文塘は京都に生まれ、山元春挙に師事しました。本作は竹間校の文化祭に際して作者から寄贈されました。
令和5年9月の展示(展示期間:9月1日~9月30日)
右:小田碧洋 《水墨秋味図(あきあじず) 昭和期 九条弘道(くじょうこうどう)小学校蔵
 本作には秋味として鮭が墨で描かれています。鮭の顔、(ひれ)には金泥がみられ、鮭の描写にはかすれやにじみも用いられています。作者の小田碧洋は大正から昭和にかけて活躍した南画家です。

左下:津田周平(つだしゅうへい) 《柿図》  昭和期 元成逸(せいいつ)小学校蔵
 秋に旬を迎える柿を描いた作品です。器に盛られた柿は、実の艶が白の絵具によって表されています。作者の津田周平は京都市出身の画家で、京都市立美術大学(現・京都市立芸術大学)にて後進の指導にもあたりました。
令和5年8月の展示(展示期間:8月1日~8月31日)

平井楳仙(ひらいばいせん)春光舞鶴図(しゅんこうまいづるず) 20世紀 元六原(ろくはら)小学校蔵
 春の日差しをうけて輝く山を描いた作品です。左下には二羽の鶴が舞う様子が小さく描かれています。鶴と山との大きさの対比が、そびえたつ山の高さを想像させます。作者の平井楳仙は京都市出身の日本画家で、京都市立美術工芸学校絵画科を卒業し、竹内栖鳳に師事しました。本作は下京二十八番組小学校として開校した元六原小学校に伝わりました。
令和5年7月の展示(展示期間:7月1日~7月31日)

下絵:山田文一 ・ 染:吉田栄治 《神社仏閣にみる格致(かくち)学区変遷図》
 制作年代不明 元格致小学校蔵
 格致校とその学区内の寺社仏閣をはじめとする名所を示しています。(ろう)が染料をはじく性質をいかした、ろうけつ染めによる作品です。格致学区内に位置する祇園祭の山鉾の四条傘鉾・芦刈山・油天神(あぶらてんじん)山・木賊(とくさ)山・太子山も表されています。

令和5年6月の展示(展示期間:6月1日~6月30日)

梅戸在貞(うめとざいてい)宇内(うだい)神秀・敷島(しきしま)の松》 
                昭和27(1952)年 元立誠(りっせい)小学校蔵
 左幅には雲がかかる富士山、右幅には富士五湖の一つである河口湖周辺の名所・敷島の松が描かれています。本作は昭和27年に第二次世界大戦後の平和条約・サンフランシスコ平和条約が発効されたことを記念し、元立誠小学校へと贈られました。梅戸在貞は、原派の祖・原在中(はらざいちゅう)の子である在親(ざいしん)を初代とする、梅戸家の三代目です。

令和5年5月の展示(展示期間:5月1日~5月31日)

大橋孝吉(おおはしこうきち) 《渓流新緑》(けいりゅうしんりょく) 20世紀 元生祥(せいしょう)小学校蔵
 若葉がみずみずしい新緑の季節を迎えた渓流を描いている作品です。木々の葉が日の光を浴びて輝いています。作者の大橋孝吉は京都市出身の画家です。本作は大橋の母校である生祥小学校に伝わりました。

令和5年4月の展示(展示期間:4月1日~4月30日)

廣田百豊(ひろたひゃくほう) 《山櫻鳩図》(やまざくらはとず) 20世紀 元滋野(しげの)中学校蔵
 満開を迎えた桜の花を描いた作品です。桜の幹にとまる二羽の白い鳩には、白色の濃淡による巧みな羽の表現がみられます。作者の廣田百豊は石川県出身の画家で、京都に出て竹内栖鳳に師事し、文展などで活躍しました。

令和5年3月の展示(展示期間:3月2日~3月31日)
上:近藤(ひろし) 《梅絵彫花瓶》 20世紀 元洛東中学校蔵
 灰色がかった白の地に、青色の釉薬で梅が描かれた染付の花瓶です。染付の重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された近藤悠三の次男である近藤濶は、優美な作風を確立したとされます。本作は、近藤濶が卒業した元洛東中学校に伝わったとされます。

下:近藤濶 《つた絵彫花瓶》 20世紀 元洛東中学校蔵
 青色の花瓶に白色でツタの葉を表しています。本作には、器の地の色と異なる色の釉薬をほどこしたのち、釉薬の層を削りとる技法である「掻き落とし法」が用いられています。《梅絵花瓶》と同じく、近藤濶による花瓶です。
令和5年2月の展示(展示期間:2月1日~2月28日)
左:山口華楊 《南天に小禽図》 20世紀 元本能小学校蔵
 赤い実が実る南天の木に小鳥がとまっている様子を描いた作品です。華楊は大正時代から昭和時代にかけて活躍した人物で、昭和56(1981)年に文化勲章を受章しました。動物画を得意とした華楊の若き日の作品であると予想されます。本作は番組小学校のうちの一校である本能校に伝わりました。

右:山田松渓 《雪中烏》 明治27(1894)年 元柳池幼稚園蔵
 雪の中にたたずむ二羽の烏を描いた作品です。松渓は明治時代に活躍したとされる日本画家です。本作は元柳池幼稚園に伝わりました。絵に記された文字から、学校のために描かれたことが明らかな作品です。
令和5年1月の展示(展示期間:1月5日~1月31日)

福田翠光下絵 《鷹図》 20世紀 元西陣小学校蔵
 福田翠光が描いた下絵をもとに鷹の刺繍がほどこされた作品です。鷹は音から「高い」の語が重ねられ、縁起が良いとされました。下絵を描いた翠光は、大正時代から昭和時代にかけて活躍し、鷹の名手として知られました。本作は番組小学校のうちの一校である西陣校に伝わりました。

山口玲凞 《茄子》 20世紀 元格致小学校蔵
 山口玲凞による茄子を描いた作品です。茄子は音から「茄子」の語が重ねられ、縁起が良いとされました。作者の玲凞は大正時代から昭和時代にかけて活躍した人物で、花鳥画を得意としました。本作は番組小学校のうちの一校であり、玲凞の弟・山口華楊の母校としても知られる格致校に伝わりました。
令和4年12月の展示(展示期間:12月1日~12月27日)
三尾呉石 《猛虎慈愛》 20世紀 元梅屋小学校蔵
 三尾呉石は、明治時代から昭和時代にかけて活躍しました。呉石の師・大橋翠石は動物の絵を得意とした人物で、呉石も師ゆずりの写実的な虎を描きました。本作に描かれた虎の親子は、細い線を重ねて丁寧に毛が描写されています。番組小学校の一つである梅屋校へ、音楽コンクール優勝を記念して贈られた作品です。

翠蔦 《虎図》 昭和33年以前 元梅屋小学校蔵
 「翠蔦」という人物が描いた作品です。白と金を用いた細かな毛や、虎の写実的な顔立ち、「翠」という漢字が名前に含まれていることなどから、虎の絵で名をはせた大橋翠石からの影響が推測されます。本作は学区に暮らしていた方から寄贈され、梅屋校に伝わりました。
令和4年11月の展示(展示期間:11月1日~11月29日)

神坂雪佳 《松図》    
           大正期 鷹峯小学校蔵
 作者の神坂雪佳は、琳派を研究していました。本作にも、琳派の作品に用いられる、絵具が乾かないうちに塗り重ねて滲みをもたらす「たらしこみ」の技法が取り入れられています。鷹峯は、雪佳が傾倒した本阿弥光悦ゆかりの地です。そのつながりで本作は鷹峯校へとおくられたのかもしれません。

令和4年10月の展示(展示期間:10月1日~10月31日)
水田竹圃 《秋景山水図》    
           昭和23(1948)年 上賀茂小学校蔵
 《秋景山水図》という題が伝わる本作には、紅葉のような赤い葉をもつ木々が描かれており、その点からも秋の季節を描いたと考えられてきました。作者の水田竹圃は、明治時代後半から昭和時代前半にかけて活躍した南画家です。南画とは、元・明時代の中国の絵画に学び、日本で描かれた絵画です。本作では山肌に、ひだを描いて質感を表現する中国絵画の技法が用いられています。本作は、上賀茂小学校の創設80周年を記念して、作者からおくられました。
令和4年9月の展示(展示期間:9月1日~9月30日)

長田紅霞 《淀の水車》 20世紀 納所小学校蔵
長田紅霞 《富嶽図》  20世紀 七条小学校蔵
 作者の長田紅霞は京都で活躍した画家とされ、京都の学校には7校にそれぞれ1点ずつ、計7点の作品が伝わっています。それらのうちの一つ、《淀の水車》が伝わった納所小学校の校歌には、「めぐりてやまぬ水車…」と歌われています。また、《富嶽図》に描かれた富士山は、国語や音楽などの教科書でとりあげられてきたこともあり、学校には富士山を描いた多くの作品が伝わっています。学校に縁の深い風景を描いた二点の作品をお楽しみください。

令和4年8月の展示(展示期間:8月1日~8月30日)
土佐光武 《紫宸殿御庭前舞楽之図》    
           19世紀後半 嵯峨小学校蔵
 御所の紫宸殿にて、舞楽の演目「蘭霊王」が上演されている様子を描いた作品です。作者の土佐光武は,京都に生まれた土佐派の絵師です。土佐派は朝廷直属の絵師集団として幕末まで活躍し、狩野派と共に近世の二大画派に数えられていました。鮮やかな岩絵具を用いて、繊細かつ丁寧に宮廷行事を描いた本作は、土佐派が得意とした作風をよく示しています。
令和4年7月の展示(展示期間:7月1日~7月31日)
小杉義八 《長刀鉾》 《船鉾》    
           昭和49(1974)年頃 元格致小学校蔵
 7月の京を彩る祇園祭の山鉾巡行を、着物に模様を描く手描染の技法で華やかに表した作品です。作者の小杉義八は、染色業にたずさわったとされる格致校の卒業生です。本作は、昭和49年の創立百五周年を記念して贈られました。祇園祭の中心部の一つであり、「染物の町」として知られた学区の特色が感じられる作品です。
令和4年6月の展示(展示期間:6月1日~6月30日)
田之口青晃 《流》    
          昭和期 松尾小学校蔵
 木の幹を思わせる縦の直線に,曲線のモチーフが大胆に重ねられています。明るい黄緑色,鮮やかな緑色,深みのある苔色。緑色を基調とする本作は,木々の葉の色が深まる深緑の候にふさわしい作品です。
令和4年5月の展示(展示期間:5月1日~5月31日)


高田敬輔 《虎図》    
           宝暦元(1751)年 御室小学校蔵
 高田敬輔は江戸時代中期に活躍した画人で,奇想の画家・曽我蕭白に影響を与えた可能性が指摘されています。本作の主題であり,今年の干支でもある虎は,霊獣として尊ばれてきました。端午の節句に虎の張子を飾る地域もあります。



田之口青晃 《鯉図》    
           昭和期 御室小学校蔵
 田之口青晃は鯉の名手として知られた画家です。本作においても,細く均質な線を巧みに用いて鱗を表現しています。鯉は滝に登り竜になった故事が伝わる縁起がいい魚です。現在も端午の節句には鯉のぼりを飾ります。
令和4年4月の展示(展示期間:4月1日~4月30日)
狩野栄信・養信 《春景富士図》    
          江戸時代後期 松尾小学校蔵
 狩野栄信は江戸を拠点に活躍した狩野派の一派,木挽町狩野派の八代目当主です。養信は栄信の息子で,木挽町狩野派の九代目当主をつとめました。本作は,親子二人で春の様子を描いた合作です。
令和4年3月の展示(展示期間:3月1日~3月31日)
福田恵一 《菅公の図》    
          大正~昭和期 錦林小学校蔵
 福田恵一は広島県生まれ。京都に出て西山翠璋に師事しました。福田は人物画,歴史画を多く描きました。本作においても,菅原道真の顔貌を巧みに表現しています。

榊原紫峰 《梅に雀図》    
          大正~昭和期 錦林小学校蔵
 榊原紫峰は京都府生まれ。30歳のときに錦林学区内に転居しており,画家と小学校とのつながりが想像されます。本作には,花鳥画を得意とした紫峰の巧みな表現が認められます。
令和3年4~5月の展示(展示期間:4月18日~5月31日)
神谷光径 《桜花鴛鴦図》    
          昭和期 柏野小学校蔵
 神谷光径は富山県生まれ。京都御所の襖絵を手掛けているほか,教会の壁画や寺院の襖絵などを多く制作した。
令和3年3月の展示(展示期間:3月14日~4月11日)
梥本武雄 《草花図》   
          昭和期 元格致小学校蔵
 梥本武雄は昭和期に活動した日本画家。京都市立絵画専門学校に進学し,菊池契月塾でも学んだ。京都御所の障壁画を描くなどしている。

人形 《官女曳狆》   
          明治後期 元生祥幼稚園蔵
 官女曳狆とは,明治後期から昭和初期に見られる雛飾りの添え人形のこと。生祥幼稚園にて,ひな人形と一緒に飾られていた。
令和3年2月の展示(展示期間:2月1日~3月7日)
内海吉堂 《松鶴図》    
          明治41年 元明倫小学校蔵
 内海吉堂は明治~大正期に活動した日本画家。明治10(1877)年に中国へ渡り文人画を学ぶなど,知識人としても有名であった。本作は明治41(1908)年の明倫校校舎改築を記念して寄贈された。
令和2年12月の展示(展示期間:12月15日~1月31日)
原田久之助 《ねむの花》    
          昭和5年 元清水小学校蔵
 原田久之助は主に大正~昭和期に活動した洋画家。安井尋常小学校で教えるなど,図画教員でもあった。本作はもと安井小学校に伝わった。
令和2年11月の展示(展示期間:11月16日~12月14日)
堂本漆軒 《花模様漆皿》    
          昭和期 元洛東中学校蔵
 堂本漆軒は大正~昭和期に活躍した漆芸家で,京都の工芸界を牽引した。日本画家の堂本印象の兄としても知られる。陶磁器が盛んであった東山地域の洛東中学校に伝わった作品。
令和2年10月の展示(展示期間:10月12日~11月15日)
上:竹内栖鳳下絵 《千代田城》   昭和15年 元待賢小学校蔵
 近代日本画の大家,竹内栖鳳の下絵をもとに制作された西陣織の作品。地元の西陣織職人,長本恒三郎が栖鳳に依頼した。
下: 竹内栖鳳原画 《宮城を拝して》  昭和44年 元格致小学校蔵
 竹内栖鳳の原画をもとに,友禅作家平井俊治郎が80歳の時に制作した京友禅作品である。格致小学校創立百年を記念したもの。原画となったのは昭和17年,栖鳳が生涯最後に描いた写生。
令和2年9月の展示(展示期間:9月13日~10月11日)
景僊 《母子虎図》    
          大正3年 元新道小学校蔵
 6曲1隻屏風の大画面いっぱいに力強く描かれた親子の虎。作者の景僊については詳細不明だが,大正3年に描かれ,新道小学校で大事に保管されてきた。
令和2年8月の展示(展示期間:8月16日~9月12日)
上: 坂田彩湖 《待宵草》  昭和56年 元格致小学校蔵
 坂田彩湖は友禅染作家。格致学区には染織関係の問屋も多く,学校には染織作品も多く寄贈された。
下: 川島浩 《百合図》  昭和期 元有隣小学校蔵
 川島浩は京都生まれの日本画家。市立桃山中学校,京都絵画専門学校を卒業した。
令和2年7月の展示(展示期間:7月16日~8月15日)
西浦利一 《嫩草》    
          昭和期 元格致小学校蔵
 格致小学校同窓会50周年を記念して寄贈された。嫩草(どんそう)とは芽を出したばかりの若草のこと。
令和2年6月の展示(展示期間:6月1日~7月14日)
板倉星光 《わらべ》 
          大正期 元豊園幼稚園蔵
  桜が咲く春の庭で、楽しげに遊ぶ幼稚園児を描いている。作者の板倉星光は仏光寺の近くに居を構えており、仏光寺の境内を描いたものとも考えられる。
令和元年秋・冬の展示(展示期間:9月17日~)
平井楳仙 「果物図」   
          昭和期 元清水小学校蔵
 平井楳仙は主に大正~昭和期に活躍した京都の画家。京都市立美術工芸学校卒業。竹内栖鳳に師事した。
令和元年8月の展示(展示期間:8月18日~9月10日)
三輪晁勢 「夏草」
           昭和前期 元梅屋小学校
 三輪は京都市立絵画専門学校卒業。昭和期に活躍した日本画家。本作は梅屋小学校の創立80年を記念して寄贈された。
令和元年7月の展示(展示期間:7月1日~8月11日)
「書画家寄合屏風」  
          明治後期 元柳池中学校
 明治後期に、柳池学区に住む有名書画家たちが合作して作成した屏風。画家の岸竹堂は鵞鳥を描いている。
令和元年5~6月の展示(展示期間:5月25日~6月23日)
入江波光「唐獅子図扇面」  
          昭和14年 元待賢小学校
 昭和14年,待賢小学校の校舎改築を記念して寄贈された。入江波光は京都市立絵画専門学校に学び,のち教員として活躍した,大正昭和期の京都画壇を代表する画家。
平成31年4月の展示(展示期間:4月13日~5月14日)
三尾呉石「猛虎慈愛図」 
          大正~昭和期 元梅屋小学校
 三尾呉石は戦前に活躍し,虎をよく描いた画家。本作は虎の親子愛がテーマに描かれ,小学校へ寄贈された。
平成31年3月の展示(展示期間:3月4日~4月6日)
都路華香 《駿馬図》 ・山元春挙 《雪松図》
          大正7年 元竹間小学校蔵
 大正7年に,創立50周年を迎えた竹間小学校が学区の画家12人に依頼して制作した作品。そのうちの2つを展示しています。
平成31年1月の展示(展示期間:1月14日~2月12日)
望月玉成 《牧場の初春》 
          大正8年 元竹間小学校蔵
 望月玉成は京都を代表する画家の流派である望月派の6代目。京都絵画専門学校卒業。竹間学区に住んでいた。
平成30年11~12月の展示(展示期間:11月15日~12月27日)
山本倉丘 《七面鳥図》 
         昭和期 元清水小学校蔵
 山本倉丘は京都市立絵画専門学校に学び,堂本印象に師事した。京都市文化功労者。
平成30年10月の展示(展示期間:10月8日~11月10日)
木村斯光 《お手玉》
         昭和期 元日彰幼稚園蔵
 木村斯光は京都市生まれ,京都市立絵画専門学校を卒業。菊池契月に学び,気品があり透明感のある女性像を得意とした。
平成30年9月の展示(展示期間:8月27日~10月6日)
大雅堂霞邨 《二宮尊徳学業励行図》
         昭和16年 今熊野小学校蔵
 大雅村霞邨は昭和期に活躍した画家で,江戸時代の画家池大雅にあることを自称した。描かれているのは,小学校の教科書などによく掲載された逸話で,二宮金次郎が山で仕事をしながら勉強している場面。
平成30年4月の展示(展示期間:4月1日~4月23日)
宇田荻邨 《山桜図》
      昭和6年頃 大将軍小学校蔵
 宇田荻邨は衣笠地域に住み,地域の自然をよく描いた画家。
平成30年3月の展示(展示期間:3月1日~3月31日)
松邨梅叟ばいそう 《林和靖図》
      大正7年 元小川小学校蔵
 林和靖は中国北宋時代の詩人。世俗から離れて隠逸の生活を送った。
平成30年2月の展示(展示期間:2月1日~2月27日)
堀泰明 《藪椿図》
      昭和44年 元有済小学校蔵
 堀泰明は昭和28年に有済小学校を卒業。京都市立美術学校を卒業,山口華楊に師事した。
平成29年12月の展示(展示期間:12月16日~平成30年1月19日)
廣田百豊 《仔犬群》
      昭和期 元城巽中学校蔵
 廣田百豊は石川県に生まれ,師範学校を卒業後,教職に就くが,画家になるため退職。京都に出て竹内栖鳳に師事した。
平成29年11月の展示(展示期間:11月7日~12月12日)
山口華楊 《南天に小禽図》
      大正期 元本能小学校蔵
 山口華楊は格致小学校の卒業生。幼少期から動物を好み,動物画をよく描いた。
平成29年10月の展示(展示期間:10月1日~11月6日)
平井楳仙 《果物図》  元清水小学校蔵
 平井楳仙は開智小学校の卒業生。京都市立美術工芸学校に進み,官立の展覧会などで活躍した。
平成29年9月の展示(展示期間:8月31日~9月23日)
岸連山 《諸葛孔明図》
     江戸後期 元六原小学校蔵
 岸連山は江戸後期に活躍した京都の絵師。本作は明治時代,学区関係者から六原校に寄贈された。
平成29年7~8月の展示(展示期間:7月28日~8月29日)
狩野栄信・養信落款 《富士・耕作図》 
     江戸後期 松尾小学校蔵
 狩野栄信・養信の親子は江戸時代後期に活躍した,江戸の木挽町狩野家の8・9代目。
平成29年6月の展示(展示期間:6月19日~7月24日)
岩佐古香 《嵐山》 
     元龍池小学校蔵
 岩佐古香は名古屋に生まれ,京都に出て四条派を学んだ。本作は昭和初期に龍池校に寄贈された。
平成29年5月の展示(展示期間:5月22日~6月18日)
猪飼嘯谷 《天孫降臨》 
     昭和初期 元西陣小学校蔵
 日本神話を題材にした歴史画。猪飼嘯谷は四条派の谷口香嶠に師事した画家。京都市立美術工芸学校を卒業,その後京都市立絵画専門学校にて教鞭をとった。
平成29年4月の展示(展示期間:4月24日~5月21日)
梶原緋佐子 《草花図》 
    昭和期 元 有済小学校蔵
 梶原緋佐子は近代京都画壇の画家で,有済小学校を卒業した。本作は母校へ贈られた作品。女性像を描くことを得意とした梶原にとって,草花を描いた小品は珍しい。
平成29年3月の展示(展示期間:3月11日~4月21日)
板倉星光《わらべ》  大正期 元豊園幼稚園蔵
 桜が咲く春の庭で、楽しげに遊ぶ幼稚園児を描いている。作者の板倉星光は仏光寺の近くに居を構えており、仏光寺の境内を描いたものとも考えられる。
平成29年2月の展示(展示期間:2月11日~3月10日)
(中央)梅戸在勒(うめどざいろく)《雛人形図》  明治~大正期 元柳池幼稚園蔵
(左)《雛人形》元明倫幼稚園蔵
(右)《内裏雛》元生祥幼稚園蔵
 幼稚園で雛飾りをするときに用いられた道具。戦前の貴重な雛人形などが,学区民によって幼稚園に寄贈された。
平成29年1月の展示(展示期間:1月7日~2月10日)
西田秀雄《しゃぼん玉》  昭和41年 明徳幼稚園蔵
 明徳幼稚園の園舎竣工を記念して寄贈された作品。作者の西田秀雄は絵の指導者としてたびたび幼稚園をおとずれていた。
平成28年12月の展示(展示期間:12月初旬~1月6日)
木村斯光《お手玉》
  昭和期 元日彰幼稚園蔵
 

 大正昭和期に活躍し,美人画の名手として知られた木村斯光の作品です。昔は「おじゃみ」と呼ばれたお手玉で遊ぶ舞妓の輪郭や表情をかたどる墨線は,極めて繊細に引かれており,とても上品な作品に仕上がっています。

平成28年10月の展示(展示期間:10月11日~12月初旬)
服部喜三《無心の子供》  昭和6年 元本能小学校蔵
 服部喜三は大正から昭和にかけて活躍した画家で,関西美術院に学んだ。本作は戦前から本能小学校に伝えられてきた作品で,大正12年に新築されたコンクリート校舎を長きに渡り飾ってきた。
平成28年9月の展示(展示期間:9月10日~10月10日)
川端彌之助《琉球山原船》
  昭和15年 元生祥小学校蔵
 

 川端彌之助は京都市生まれ。生祥校卒業ののち,大正~昭和期を代表する洋画家となった。京都市立美術大学教授などを務めた。本作は昭和15年の紀元二千六百年奉祝美術展に出品された作品。

平成28年8月の展示(展示期間:8月11日~9月9日)
神田文祥《森九郎助肖像》  明治初期 元開智小学校蔵
 下京第11番組小学校(のち開智校)の初代校長となった教師・森九郎助の肖像。森は小学校が創立されるまでは寺小屋で子どもたちを教えていた。
平成28年7月の展示(展示期間:7月11日~8月7日)
富田渓仙《聚楽富嶽図》
  大正5年 元聚楽小学校蔵
 

 画家富田渓仙が,聚楽校のために制作した絵画。安土桃山時代に豊臣秀吉が建てた邸宅「聚楽第」に由来しますが,「楽しみが集まる場所」という本来の意味は,学校という場所にぴったりの言葉です。

平成28年6月の展示(展示期間:6月16日~7月8日)
人見少華《老松・舞鳳図》  昭和6年 元明倫小学校蔵(画像は左幅部分)
 大正・昭和に活躍した南画家,人見少華の作品。昭和6年に明倫小学校の校舎新築祝いとして寄贈された作品です。
平成28年5月の展示(展示期間:5月9日~6月2日)
竹内栖鳳《虞美人艸》
  大正9年 学校歴史博物館蔵
 日本画家竹内栖鳳は城巽学区に居を構えていました。本作は大正9年,栖鳳の息子が城巽小を卒業した折に栖鳳から息子の担任教師に贈られたものです。
平成28年4月の展示(展示期間:4月1日~5月5日)
今尾景年・鈴木松年《和漢故事人物図》屏風  明治期 元聚楽小学校蔵
 明治期に新派として登場した,鈴木百年率いる鈴木派の門下であった今尾景年と,百年の息子である松年が共同で制作した屏風。日本と中国の歴史人物を交互に描いており,景年が日本の人物を,松年が中国人物を担当している。
平成28年3月の展示(展示期間:3月4日~3月31日)
伝狩野永徳筆《雲龍図》
  江戸時代初期 元崇仁小学校蔵
 もとは道正庵という寺院に伝わったものでしたが,明治期には寺院の建物を柳原町が役場として購入し,のちに役場に隣接していた小学校に伝わりました。狩野派の画風によるもので,江戸時代に描かれたと考えられます。
平成28年2月の展示(展示期間:2月2日~3月3日)
橋本関雪《舊江山之図》  大正4(1915)年 錦林小学校蔵
 作品は錦林小学校所蔵の御大典記念書画帖で,大正4年に大正天皇即位を記念して学校により制作されたものです。
平成28年1月の展示(展示期間:1月5日~2月1日)
山元春挙・森春岳ほか《旭に松竹鶴図》
  元龍池小学校蔵
 朝日に松竹鶴が描かれためでたいものづくしの掛け軸。4つのモチーフをそれぞれ4人の画家が手がけており,祝いの場で即興的に制作されたものと考える。学校ではこのような軸をかけて新年を祝っていた。
平成27年12月の展示(展示期間:12月4日~12月27日)
上:福田平八郎《双葉葵図扇面》  昭和2(1927)年 下鴨小学校蔵
 下鴨小の校舎新築を記念して作られた扇面。扇は末広がりの吉祥を表す道具であることから,学校の校舎新築や改築の時にはよく寄贈されていた。福田平八郎は近代京都の画家で,下鴨の学区に住んでいた。
下:西村五雲《神鹿図》  大正~昭和期 元春日小学校蔵
 描かれているのは鹿で,春日小の校名にも通じる春日明神の使いである。作者の西村五雲は近代京都画壇のリーダー竹内栖鳳の弟子で,栖鳳と同じく動物画を得意とした。
平成27年11月の展示(展示期間:11月6日~12月3日)
伝横山清暉《唐獅子図杉戸》
  江戸後期 元日彰小学校蔵
 日彰小学校は明治2年に開校しました。3年後,児童数の増加により校舎を拡張することになり,山階宮別邸を購入して校舎としました。この杉戸はもと山階宮別邸を飾っていたもので,四条派の絵師横山清暉が描いたと伝えられています。
平成27年10月の展示(展示期間:10月2日~11月5日)
神坂雪佳《松図》
  大正期 鷹峯小蔵
 近代琳派の継承者とされる神坂雪佳の松図。平面的に描かれた松を大胆な構図で配しており,装飾的な表現が見て取れる。今年は,琳派400年記念の年でもある。
平成27年9月の展示(展示期間:9月3日~10月1日)
竹内栖鳳《雄飛報国之秋》
  昭和12年 元初音中学校蔵
 旭日を背景に鷹を描いた作品で,1937(昭和12)年から第一次近衛内閣によって行われた国民精神総動員運動のポスターと同図様になっている。日本で鷹は昔からよく描かれた画題であるが,戦時下において猛禽類はよく航空戦力になぞらえて描かれた。
平成27年8月の展示(展示期間:8月6日~9月1日)
右:猪飼嘯谷《桃太郎図》  昭和7(1932)年 元滋野中学校蔵
 歴史画家として有名であった猪飼嘯谷の作品。桃太郎や家来の犬,猿,キジが着る甲冑は極めて細密に描かれている。「桃太郎」の話は明治20年に国語教科書に取り上げられ,以降学校にはおなじみの画題となった。
左:巌谷小波《桃太郎図》  明治~大正期 元陶化小学校蔵
 巌谷小波は児童文学の第一人者で,博文館と組んで『日本昔噺』のシリーズなどを大ヒットさせた。同叢書において少波は桃太郎,舌切雀,猿蟹合戦などの口承民話を子ども向けに編集し,世に広めた。
平成27年7月の展示(展示期間:7月2日~8月4日)
谷口香嶠《公助受父苔図》
  明治期 元立誠小蔵
 立誠小に伝わった大幅の掛け軸。今昔物語に収載される下毛野公助の孝行譚を絵画化している。明治期に活躍した画家,谷口香嶠の手によるもの。明治の学校における修身教育を今に伝えている。今回は複製パネルを展示しています。
平成27年4月~6月の展示(展示期間:4月25日~6月30日)
 月替わり 学校美術品展示コーナーは,企画展「日本画開拓の時代-明治を生きた京の画家-」の会場としております。
平成27年4月の展示(展示期間:4月2日~4月21日)
久保田米僊《園児遊戯図》
  明治21(1888)年頃 元尚徳中学校蔵
 本図は元尚徳小学校に伝わったことから,明治21年に尚徳校内に開園した楊梅幼稚園で行われた唱歌遊戯を写生したものとも考えられる。
 洋装と和装の児童たちが輪になって踊る姿は,文明開花期の子どもの様相をよく伝えている。
平成27年3月の展示(展示期間:3月5日~3月31日)
左:高田敬輔《虎図》  宝暦元(1751)年 御室小学校蔵
 高田敬輔は江戸時代に活躍した画家。近江日野に生まれ,京狩野の流派に学んだ。元は仁和寺の院家が所蔵していたが,明治6年御室校が院家の建物を校舎として使った際に学校に移ったと考えられる。
右:横山清暉《東方朔図》  江戸後期 元桃薗小学校蔵
 横山清暉は幕末の四条派を代表する画家。中国前漢時代の政治家である東方朔を描いている。東方朔は西王母の桃を盗んで食べ,800歳の長寿を得たという。
平成27年2月の展示(展示期間:2月5日~3月3日)
幸野西湖《酔李白図》
  昭和10(1935)年頃 嵯峨小学校蔵
 酒をこよなく愛したことで知られる唐代の詩人,李白を描いている。
 作者の幸野西湖は嵯峨に画室を構えていた。
幸野豊一《仔鹿》
   昭和10(1935)年 嵯峨小学校蔵
 昭和10年,嵯峨小学校が新校舎落成を記念して展覧会を開いた際に作者から寄贈された作品。豊一は幸野西湖の息子
平成27年1月の展示(展示期間:1月8日~2月3日)
左:鈴木松年《旭日老松図》   明治33(1900)年 元成逸小学校蔵
 松は冬でも枯れない常緑樹であることから,不老長寿を願う吉祥のモチーフとされた。本図では豪腕で知られた鈴木松年らしく,勢いのある墨線で迫力のある松に仕上げられている。
右:国井応陽《生祥顕瑞図》   大正3(1914)年 元生祥小学校蔵
 松に加えて,清らかさの象徴である竹,不老長寿の象徴である霊芝(万年茸)も描かれた,めでたづくしの作品。学校では新年の祝いや記念式典などの際に用いられたと考えられる。国井応陽は江戸時代に活躍した絵師円山応挙の玄孫(やしゃご)
平成26年12月の展示(展示期間:12月4日~1月6日)


《組内画家記念揮毫屏風》 上村松園ほか  大正7年 元竹間小学校蔵
 竹間小学校に伝わった作品です。大正7年の創立50周年を祝して竹間学区に当時住んでいた有名な画家12人に依頼してひとつずつ絵が描かれ,のちに屏風が仕立てられました。上村松園,都路華香などが参加しています。現在は,上村松園「静御前」,加藤英舟「兎と亀」,庄田鶴友「冨嶽図」,平野古桑「山水図」が描かれた部分を展示しています。
平成26年11月の展示(展示期間:11月6日~12月2日)
 京都の小学校に所蔵されている美術作品の中には,学校の校舎竣工や増改築の折,記念の品として寄贈されたものが多くあります。明治大正期の京都の学校は和風建築が主流でしたので,この頃寄贈された作品は掛軸や屏風といった形のものが多く,作法室(礼儀作法を教えるための畳敷きの和室)の床の間などを飾っていました。昭和に入ると学校建築は耐火のコンクリート造りが増え,額装された作品の寄贈が多くなりました。
西村五雲《油断大敵》
  大正期 元本能小学校蔵
 大正12年,本能学区に住んでいた西村五雲が,本能校の校舎改築記念に贈ったものです。
太田喜二郎《麦秋》
  大正3(1914)年頃 元桃薗小学校蔵
 昭和9年に母校の桃薗校の校舎新築記念に贈った作品です。

平成26年10月の展示(展示期間:10月2日~11月4日)

《開智校写生画巻》  明治10(1877)年頃 元開智小学校蔵
 明治10年頃に開智小学校で行われた華道展の様子を記録した画巻の冒頭部分で,会場となった小学校の建物を描いています。明治期の,開校して間もない小学校の姿をうかがうことのできる貴重な資料です。左右の門柱に横木を渡した冠木門の奥に講堂が描かれ,その瓦葺の屋根には鴟尾(しび)が飾られています。さらに右手にあるのは消防の機能を象徴する望火楼で,これが小学校の目印であったことがわかります。


久保田米僊《嘉楽校之図》   明治10(1877)年 嘉楽中学校蔵
 明治10年,就学児童数の増加により校舎の建て増しが必要になった嘉楽小学校は,隣地の般舟三昧院の敷地に移転し,寺院の建物を校舎として使っていました。図は移転を祝い,扇面に新しい学校の姿を描いた版画を記念品として関係者に配ったものです。

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